PECOポイントレール

PECOのポイントレール(エレクトロフログとインサルフログ)を徹底解説!選択式と非選択式の違いを理解する

PECOのポイントレール(エレクトロフログとインサルフログ)を徹底解説!選択式と非選択式の違いを理解する

PECOのポイントレールには、"Electrofrog(エレクトロフログ)""Insulfrog(インサルフログ)"の2種類があります。

日本国内ではそれぞれ「選択式」および「非選択式」ポイントレールと呼ばれています。

  • Electrofrog(エレクトロフログ)=選択式
  • Insulfrog(インサルフログ)=非選択式

選択式と非選択式のポイントレールにはどのような特徴があり、どう使い分けるのでしょうか。

ここではまず「選択式」と「非選択式」の違いを解説します。次にエレクトロフログとインサルフログ、さらに双方の特徴を併せ持ったユニフログ(Unifrog)についても解説します。

最後にTomixポイントレールとの比較で理解を深めて、PECOのポイントレールを全通式にする手順を図解します。

1. 選択式と非選択式(全通式)について

ポイントレールはメーカーや種類により電気の流れが異なります。

まずは基本をおさらいしましょう。

(1)選択式ポイントレール

選択式ポイントレールとは、レールが開通している側にしか通電しないポイントレールです。

ポイントが開通しているレール上の車両のみ動かすことができます。

選択式と全通式(非選択式)について選択式と全通式(非選択式)について
  • 開通方向にだけ走行可能
  • 非開通方向は同極性になり走行不可

(2)非選択式(全通式)ポイントレール

非選択式ポイントレールとは、ポイントの切り替えに関係なく通電するポイントレールです。

PECOのインサルフログ(非選択式)はこの方式とは異なります

選択式と全通式(非選択式)について選択式と全通式(非選択式)について
  • 開通方向に関係なくどちらも走行可能

2. PECOのポイントレールはどちらも”選択式”!?

前項で選択式と非選択式(全通式)の違いがわかりました。

続いてPECOの"Electrofrog(エレクトロフログ)"と"Insulfrog(インサルフログ)"の電気の流れを見てみましょう。

(1)Electrofrog(エレクトロフログ)

PECO Electrofrog(エレクトロフログ)PECO Electrofrog(エレクトロフログ)
  • 開通方向にだけ走行可能
  • 非開通方向は同極性になり走行不可
  • フログ(ノーズレール)にも通電している

ポイント

開通していない側のレールを”同極性”にする=篠原模型方式

(2)Insulfrog(インサルフログ)

PECO Insulfrog(インサルフログ)PECO Insulfrog(インサルフログ)
  • 開通方向にだけ走行可能
  • 非開通方向は内側が無電区間になり走行不可
  • フログ(ノーズレール)は絶縁されている

ポイント

開通していない側のレールの内側を”無電”にする=TOMIX(片側選択式)・KATO方式

(3)まとめ

  • どちらも開通している側の車両しか動かない
  • PECOの"Insulfrog(インサルフログ)=非選択式"は一般的な"非選択式(全通式)"とは異なる
  • どちらも電気の流れが異なる「選択式」

3. Insulfrog(インサルフログ)とElectrofrog(エレクトロフログ)の特徴

まず、InsulfrogとElectrofrogの意味から考えてみます。

  • Insul = 絶縁された・絶縁・絶縁材
  • Electro = 電気・電気による・電気の

実際にPECOの製品を見比べてみましょう。

(1)Insulfrog (インサルフログ)

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これはNゲージ用のSL-395(インサルフログ)です。

赤丸のフログ部分が絶縁体なので、ここを車両が通過する時は無電状態になります。約11mmほどですが車輪の間隔が狭い車両や、極端な低速で走行している場合は止まってしまうことがあります。

(2)Electrofrog(エレクトロフログ)

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こちらはSL-E395(エレクトロフログ)です。

赤丸のフログ部分が導電体なので、フログとフログレールが一体となり通電されるため無電状態がなくなります。

(3)まとめ

違いはフログ部分が通電しているか絶縁されているかどうかです。「エレクトロフログ・インサルフログ」と「選択式・非選択式」は別の概念である、ということを押さえておきましょう。ここを混同すると矛盾が生じます。

4. TOMIXのポイントレールとの比較

TOMIXのポイントレールとの比較

ここではTOMIXポイントレールの電気の流れを確認してPECOと比較します。

画像は、左からPECOのエレクトロフログ(SL-E395)、インサルフログ(SL-395)、TOMIXの片側選択式(旧PR-541-15)、完全選択式(PR140-30)です。

(1)TOMIXの片側選択式

TOMIXの片側選択式TOMIXの片側選択式
  • 開通方向にだけ走行可能
  • 非開通方向は内側が無電区間になり走行不可
  • フログ(ノーズレール)にも通電している

現在では完全選択式に移行されていますが、旧タイプには片側選択式という方式がありました。これを踏まえてPECOのインサルフログの画像をもう一度見てみます。

PECO インサルフログPECO インサルフログ

非開通方向のレールが片側だけ無電になるという部分は同じです。

違いはフログ(ノーズレール)が導電体であること、それに伴いトングレールへの電気の流れが異なります。

(2)TOMIXの完全選択式

TOMIXの完全選択式TOMIXの完全選択式
  • 開通方向にだけ走行可能
  • 非開通方向は両側レールとも無電区間になり走行不可
  • フログ(ノーズレール)は絶縁されている

現行のTOMIXのポイントレールは完全選択式が主流です。非開通方向には一切電気が流れません

5. PECOのInsulfrog(インサルフログ)を”非選択式(全通式)”にする方法

PECOのポイントレールは、どちらも電気の流れが異なる「選択式」ですが、これを一般的な”非選択式(全通式)”にするには、どうすればよいのでしょうか。

(1)裏側のジャンパーを変更する(パターンA)

PECOのInsulfrog(インサルフログ)を”非選択式(全通式)”にする方法PECOのInsulfrog(インサルフログ)を”非選択式(全通式)”にする方法

インサルフログ(SL-395)の裏側です。

元々あるジャンパーをカットして、①と③、②と④をジャンパーさせれば、ポイントの切り替えに関係なく両方向に通電する”非選択式”にできます。(片側のトングレールを除く)

PECOのInsulfrog(インサルフログ)を”非選択式(全通式)”にする方法PECOのInsulfrog(インサルフログ)を”非選択式(全通式)”にする方法

左が通常のインサルフログ、右がジャンパーを変更し"非選択式(全通式)"化した場合です。

ストックレールと接地していないトングレールは無電となるので完全なる"全通式"ではありませんが、非開通方向にも正常に給電されます。

(2)ジャンパーを追加する(パターンB)

PECOのInsulfrog(インサルフログ)を”非選択式(全通式)”にする方法PECOのInsulfrog(インサルフログ)を”非選択式(全通式)”にする方法

元々あるジャンパーはそのままでもう2本ジャンパーを追加する方法もあります。

ストックレールとトングレールを繋ぐのでパターン①では無電だったトングレールにも通電させることができます。

(3)Electrofrogを”非選択式(全通式)”にできるか

Electrofrog(エレクトロフログ)を”非選択式(全通式)”にすることも可能です。しかしフログ部分にギャップを設けたり、PECOのPL-13などを使って極性反転させるなど若干の手間がかかります。

6. Unifrog(ユニフログ)について

選択式(エレクトロフログ)と非選択式(インサルフログ)の2つの違いをPECOのポイントレールで解説

PECOのポイントレールには、もう1種類「Unifrog(ユニフログ)」があります。

ユニフログは、インサルフログとエレクトロフログの両方の特徴を併せもったデザインです。

(1)Unifrog(ユニフログ)の特徴

Unifrog(ユニフログ)の特徴Unifrog(ユニフログ)の特徴
  • ストックレールとセンターレール(リードレール)が配線されて、それぞれ対応するフログレールとも繋がっている
  • 初期状態で全通式(フログの先端部は除く)
  • 簡単な配線変更でエレクトロフログ、インサルフログどちらの方式としても使うことができる(※2-(1)、2-(2)の項を参照)

(2)Unifrog(ユニフログ)の電気の流れ

Unifrog(ユニフログ)の電気の流れUnifrog(ユニフログ)の電気の流れ

ユニフログはそのまま使うとポイントの開通方向に関係なく、どちらにも正しく電気が流れる"非選択式(全通式)"です。

※インサルフログ同様、ウィングレールとノーズレールは無電区間になるので、車輪の間隔が狭い車両や、極端な低速で走行している場合は止まってしまうことがあります。

(3)フログ先端の極性変更も可能!

フログレールの極性変換フログレールの極性変換

背面に配線があるのでアクセサリースイッチ(PL-13)を使うことで、簡単にフログ部に電源供給/極性反転が可能です。

アクセサリースイッチ(PL-13)は、ポイントマシン(PL-10)のロッドと連動してスイッチが切り替わるので、ポイントの開通方向によってフログ部のプラスとマイナスも切り替わります。

(4)インサルフログ・エレクトロフログ・ユニフログの比較

選択式(エレクトロフログ)と非選択式(インサルフログ)の2つの違いをPECOのポイントレールで解説選択式(エレクトロフログ)と非選択式(インサルフログ)の2つの違いをPECOのポイントレールで解説

3種類のポイントレールを並べて比較してみました。

左の画像(表側)の赤丸部分は、フログレールの先端(ノーズレール部)は導電体ですが、ギャップが切られて(絶縁されて)いるのでエレクトロフログとは異なります

右の画像(裏側)の赤丸部分は、ストックレールとセンターレール(リードレール)が配線されている部分です。これもユニフログの特徴です。

(5)ユニフログの種類 (2018年10月)

現在PECOから発売されているユニフログは以下の8種類です。

OO-9/HOe用のST-U405/406が発売予定です。

まとめ

  • そのまま使うとポイントの開通方向に関係なく"非選択式(全通式)"
  • 常時給電が基本のDCCにおすすめ
  • 簡単な配線の変更でどちらの方式としても使うことができる
  • 背面の配線で簡単に補助電源供給やフログの極性反転が可能

7. 「エレクトロフログ」と「インサルフログ」どちらを選ぶか

どちらが良い製品かというご質問もいただきますが製品に良い悪いはありません。

どんなレイアウトにしたいのか、使いたいレールのコードはいくつか、DCなのかDCCなのかなどなど。どちらにもメリット・デメリットがあるので、ご自身のプランに合わせて使い分けることになります。

DCCとポイントレールの選び方、使い方については別の記事で解説します。

(1)DCCで遊びたい場合、一般的には”非選択式(全通式)”

DCCはレールへの常時給電が大原則です。PECOのポイントレールはどちらも電気の流れが異なる"選択式"なので、簡単な配線の変更、追加で非選択式(全通式)に変更可能なインサルフログがおすすめです。

(2)ゲージによってポイントレールの種類が異なる

PECOのポイントレールは、ゲージやコードによってはインサルフログの種類が極端に少ないカテゴリーがあります。

特にNゲージは、コード80はどちらもポイントレールが豊富ですが、コード55はエレクトロフログがメインでインサルフログは3種類のみです。

8. まとめ

日本では「Electrofrog(エレクトロフログ)」=「選択式」、「Insulfrog(インサルフログ)」=「非選択式」という呼称が定着しているため、当店でも商品名にその旨明記しています。

二つの違いは、フログがインサル(絶縁)かエレクトロ(導電)かという部分です。PECOのポイントレールは、どちらも”選択式”であることを念頭に置いてください。

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