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ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad) ~アーカンソー川と大渓谷を楽しむ~

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

デュランゴ&シルバートン狭軌鉄道を楽しんだ私は、"ロイヤルゴージ・ルート鉄道 (The Royal Goege Route Railroad) "に向かいました。ご存知の方も多いと思いますが、これもコロラドに来たらぜひ乗りたい鉄道のひとつです。

アーカンソー川と切り立った渓谷の迫力、300mもの頭上にかかる吊り橋と見どころ満載です。往復約40km、時間にして2時間のプチ鉄道旅行をお楽しみください。

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ロイヤル・ゴージルート (The Royal Goege Route)について

ロイヤル・ゴージルートはデンバー・アンド・リオグランデ鉄道 (D&RG)が建設した、大陸横断鉄道の接続鉄道のルートのひとつです。

D&RGはデンバーから南の"プエブロ"まで到達したあとそこから西に向かって建設し、キャノンシティからロイヤルゴージを抜け"サライダ"、銀が発見された"レッドビル"へと建設を進めました。

このキャノンシティからロイヤルゴージを抜けるルートの建設(敷設権)を巡り、アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道(AT&SF)、通称サンタフェ鉄道と血で血で洗う抗争があったのは有名な話です。

最初に許可を得て測量を始めたのはD&RGだったのですが、お役所のミスでサンタフェ鉄道にも建設許可が出てしまい実際に線路を敷き始めたのは資金力に勝るサンタフェ鉄道だったそうです。

2社とも鉄道を敷ければ良かったのかもしれませんが、ロイヤル・ゴージの渓谷は2社の鉄道が通るには狭すぎました。このためどっちが敷くのかの競争が始まったみたいです。

最終的には政府が介入し、サンタフェ鉄道が途中まで敷いた建設代金を支払うことやこの路線をサンタフェ鉄道が使うことを許可するなどの条件をまとめて示談になったそうです。

私の勝手な想像ですが、時代が時代なだけにお互いの会社に雇われた荒野のあらくれ者みたいな連中が酒場で撃ち合ったりしたのでしょうか。

ロイヤルゴージ・ルート鉄道の発着駅

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発着駅は"キャノンシティ (Canon City)"の中心から少し西に行ったところにある小さな駅です。

小さな町の小さな駅ですが年間10万人が訪れるとあってお土産コーナーはごった返し、平日の朝一番にも関わらず結構な人出でした。この駅を出発し大渓谷のロイヤルゴージを抜けて、しばらく行ったところで引き返してきます。

引き返してくる地点には昔は町があったらしいのですが今では地図にも載っていません。

ロイヤルゴージ・ルート鉄道として観光鉄道が始まったのは1998年からで、それ以前の旅客輸送は1967年に廃止されていました。その後は貨物輸送として使われていましたが、それも1996年に廃止。ほとんど使われなくなったところをロイヤルゴージ・エクスプレスが一部区間を買い取り、観光鉄道として復活しました。

キャノンシティ (Canon City)について

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発着駅があるキャノンシティはデンバーから車で南に約2時間のところにある小さな町です。

ラフティングなども有名ですが、ロイヤルゴージ・ルート鉄道とロイヤルゴージブリッジの町といった感じで、他に特に観光するところはないかもしれません。

鉄道好きならデンバーからの道もわかりやすいですし、2時間で行ける距離にあるのでデンバーを拠点とした日帰り旅行でも遊びに行ける範囲だと思います。

牽引機関車と客車の種類・運行スケジュール

2種類のディーゼル機関車

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  • "EMD F7型ディーゼル機関車"
  • "EMD GP40型ディーゼル機関車"

公式サイトやパンフレットに出ているのはオレンジが印象的な"EMD F7型ディーゼル機関車"です。

基本的には"EMD F7型ディーゼル機関車"を使っていますが、期間(夏季?)によっては画像右の"EMD GP40型ディーゼル機関車"になるようです。

客車の種類

  • Coach ⇒大人$49.00/子供(3歳~12歳)$44.00
  • Club ⇒大人$59.00/子供(8歳~12歳)$54.00
  • Vista Dome (屋根がガラス張りの展望車) ⇒ 大人$74.00/子供(3歳~12歳)$69.00

それぞれのクラスでオプションとして、地元の食材を使った朝食、昼食、ディナーなども楽しめます。車内でランチやディナーをサーブした最初の鉄道で、質の高さでも有名です。

運行スケジュール

  • おおよそ3月~12月。メイン⇒4月~10月
  • "Santa Express" ⇒11月中旬頃から

クリスマスモードになりライトアップされ夜間運行も行われます。車内にサンタクロースも登場するのでお子様連れの方にはおすすめです。

1日の本数は時期や曜日により1本~4本とバラバラなので、事前にインターネットで確認し予約してから行くのが良いでしょう。

URL:https://royalgorgeroute.com/

所在地:330 Royal Gorge Blvd, Cañon City, CO 81212


ロイヤルゴージ・ルート鉄道 乗車記

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

前日は夕方から天気が悪くなり雨も降ったので心配していましたが、なんとか晴れてくれました。

その日の一番列車に乗る予定だったので発着駅の近所の宿を取り、発車20分前くらいに駅に到着しました。

チケット入手から乗車までの流れ

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

"Santa Fe"のロゴが目印の駅舎で、インターネット予約の際にプリントアウトしておいた用紙をチケットに交換します。

予約なしでも席が空いていれば乗車できますが、事前予約しておけば用紙を見せるだけでスムーズです。

※予約時に座席の指定はできません。

☑豆知識 ~駅舎にある"Santa Fe"のロゴ~
この場所にはもともとアッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道(AT&SF)の駅舎がありました。当時は向かい側にD&RGの駅舎があったということで、先述した敷設権抗争の名残です。

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

指定されたゲートの列に並びチケットを見せて乗車します。

乗車口のところで若いお兄さんがカメラを持って待っています。観光鉄道では定番の記念撮影です。あとで写真にして座席まで持ってきてくれるみたいですが値段はいくらかわかりません。1人で来ているわたしにも声をかけてくれた優しいお兄さんでした。

車内の様子とオプションの朝食

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

わたしが乗ったCoachの車内です。スタンダードですがしっかりとした革の座席でなかなか高級感があります。

対面式で4人かけになっていますが、チケットにかかれていた"seat 1"がどこなのか気になるところです。一人身なので相席じゃないことを祈っていたのですが・・・。

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

ばっちりファミリーと相席でした。しかも本来なら私が窓側なのですが、そこにお嬢さんが座ってらっしゃる・・・。

超強面のお父さんにチケットを見せても「じゃあ、そこに座れよ。」的な感じであえなく通路側に。

写真はウェルカムドリンクとして出されたやけに甘いお茶(向こうではグリーンティーと書かれていても砂糖タップリで甘い)とフルーツとシリアルが入ったヨーグルトです。手つかずの状態にあるわたしのお茶とヨーグルトが強面との相席の気まずさと緊張感を如実に表しています。

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

食べかけの写真ですいません。予約時にオプションで付けた朝食($10.95)です。

朝食はお子様用も含めて3種類あります。発車して少しするとオーダーを取りにお姉さんがやってきます。私が付けた朝食ではブリトー、サンドイッチ、パンケーキ、オムレツの中から選べました。

  • Colorado Sunrise Breakfast Grill ⇒$15.95
  • Adult Breakfast Grill ⇒$10.95
  • Child Breakfast Grill ⇒$8.00
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おすすめ!オープンカーに移動して景色を楽しむ!

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窓際なら座席からでも景色を眺められますが、オープンカーに移動するのがおすすめです。

出発して30分ほどすると列車は徐々に渓谷に入っていきますが、その頃になるとCoachのお客さんたちはぞろぞろとオープンカーに向かいます。

オープンカーにはガイドの方もいてマイクを使っていろいろ解説してくれます。

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

途中岩肌にこんな風景が見られますが、これは木を筒状に組んで水道管として使っていた名残りだそうです。

1900年代のはじめに囚人によって組み立てられたもので岩肌を掘削しながら設置した場所などはかなりの重労働だったと思います。

1番の見どころ!ロイヤルゴージブリッジを見上げる

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出発から約1時間くらい経ち渓谷も深まり岩肌も迫ってきた頃にクライマックスがやってきます。

ロイヤルゴージ・ルート鉄道の1番の見どころでもある"ロイヤルゴージブリッジ"の真下を通過します。この頃にはオープンカーは超満員で皆さん上を見上げてカメラを構えています。

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

ロイヤルゴージブリッジのほぼ真下です。写真はこれでもかなりズームで撮っています。

橋からの高さはなんと約300m!2001年までは世界一の吊り橋だったみたいです。約300mといえば東京タワーに迫る高さです。

以前はこの橋からバンジージャンプができたとか・・・。

"インクライン"の発着場跡

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ロイヤルゴージブリッジのほぼ真下にインクラインの発着場があります。以前は300m頭上のロイヤルゴージブリッジとトロッコのようなもので行き来できるようになっていました。

現在はインクラインの故障で廃止となり運行していませんが、高さ300mから45°の急斜面をトロッコで降りるスリルはたまらなかったでしょうね。

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

別の日にロイヤルゴージブリッジにも行ったのでインクラインのレールを撮影しました。75馬力のエンジンと19個の手動ブレーキを付けていたみたいですが、谷底にゆっくり落ちていくイメージですね。

珍しい構造のハンギングブリッジ

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

への字形の鉄骨は"ハンギングブリッジ"といわれ、ロイヤルゴージルートの特徴のひとつです。

ここはちょうど折り返し地点になっていますが、両端にほぼ垂直に切り立った岩肌があり川幅が10m足らずの場所です。

そんな場所にレールを敷くためにアメリカ人土木技師によって考案された特殊な橋で、川の上にレールを吊り上げて作られています。

ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)ロイヤルゴージ・ルート鉄道乗車記 (The Royal Goege Route Railroad)

橋の上から見たロイヤルゴージ・ルート鉄道です。上から見るとものすごい場所に鉄道を敷いたことがよくわかります。右の画像の真ん中あたりに小さく写っているのがハンギングブリッジです。インクラインの発着場も見えます。

風景を撮るなら復路がおすすめ!

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ロイヤルゴージブリッジとハンギングブリッジという見どころが終わり復路運転になるとあっという間にオープンカーは空いていきます。

往路はどうしてもみなさん写真を撮りたくて集まってしまうのですが、クライマックスが過ぎるとサーっと席に戻ります。行きと同じルートを戻るわけなのでのんびり景色を眺めたり撮影するなら帰りがおすすめです。

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同行した店長人形(ミニ店)もようやく景色を楽しめます。わたしは席に戻ったところで気まずい相席状態なので、到着直前までミニ店とオープンカーで過ごしました。

さいごに

今回はロイヤルゴージ・ルート鉄道の乗車記ということで、ロイヤルゴージブリッジの様子は詳しく掲載しませんでしたが、キャノンシティまで来たらぜひ寄ることをおすすめします。

観光ガイドなど見ても鉄道と橋はワンセットで紹介されているほど有名です。別記事にて予約の取り方の解説などを載せますので、その際に橋での様子も紹介したいと思います。

 

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