鉄道模型のレイアウト制作では畳一枚以上の大作を構想する方も多いでしょう。しかし実際に着手すると途中で飽きてしまったり、構想倒れになってしまった、という話をよく聞きます。作業や保管に充分なスペースが確保できないケースもあるでしょう。
そこで卓上で気軽に楽しめるA5サイズのミニレイアウトの作り方をご紹介します。まずは完成させることを目標に小さく省スペースで、今回はティンバートレッスル仕様で制作手順をまとめました。
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ミニレイアウト制作に必要な道具と材料
ベースベニヤ
ベースとなるベニヤは4mm厚のラワンベニヤです。赤いけがき線より手前がトレッスルになるので、地面となる部分はかなり狭いです。
Fast Tracks製 レールベンダー/レール曲げ器
ミニレイアウト制作で必須のアイテムがこのレールベンダーです。フレキシブルレールにしっかりと曲げ癖をつけることができます。コード40~コード148まで幅広く対応しているのでとても重宝します。
篠原模型 HOn2-1/2 フレキシブルレール コード60
今では入手困難になってしまった篠原模型のフレキシブルレールを使います。A5サイズであれば1本あれば充分です。
ジョイナーとレール固定ピン
レール接続用のジョイナーとレールを固定するためのピンです。ジョイナーは篠原製、固定ピンはPECO製(SL-14)を使いました。
フィーダー線
電源供給用のフィーダー線です。ホームセンターなどでも売っている一般的な赤黒の配線です。断線しないよう良質な製品を使いましょう。
使用する主な道具
- 金ヤスリ
- ピンバイス
- レールニッパー
- ニッパー
- ラジオペンチ
A5サイズのミニレイアウトの制作手順
今回はレイアウトの半分以上をティンバートレッスルにするため、レールに正確な曲げ癖を付ける必要があります。
1.レールを枕木から引き抜く
レールベンダーで曲げ癖をつけるために枕木からレールを引き抜きます。引き抜くと言っても篠原模型のレールはちょっと枕木を押してあげるとポロポロとはずれます。
2.レールに曲げ癖をつける
小判型のレイアウトにするため、直線部分を残しつつ曲げ癖をつけます。ベースのけがき線にレールを合わせて、直線とカーブの境にスミ付けをします。
スミの位置にベンダーのローラーを合わせて、黒いネジを締めあげます。レールが曲がってきたらローラーに沿わせて癖付けをします。
- レールは、引き抜くのではなく、送り出すイメージでゆっくり曲げていく。
- 最初から極端に曲げようとせず、調節しながら少しずつ。
反対側の直線とカーブの境にもスミ付けをして、もう一度レールベンダーで曲げ癖を付けます。軽くテープで留めて維持できていればだいたいOKです。余ったレールをカットしたら内側レールは完成です。
外側レールにも曲げ癖をつけます。手で微調整を加え、テープなしでもけがき線通りに曲げ癖をつけることができました。
左が内レールを曲げた際の目盛、右が外レールを曲げた際の目盛です。外レールを曲げる際には、内レールの時よりも若干ネジを緩めにしましょう。
3.レールに枕木を戻す
曲げ癖をつけたレールに枕木を戻します。レールを指の腹でスライドさせながら少しずつ通します。コツとしては2本のレールに同時に通していくこと。注意点は、枕木の犬釘の表現を潰さないことです。
4.ベースをカットする
今回はレイアウトの半分以上をティンバートレッスルにするため、地形のベースをカットします。直線ならカッターで充分ですが、曲線をカットする際にはジグソーを使うと綺麗にカットできるので作業効率も格段に上がります。
5.ティンバートレッスルの桁を組む
トレッスルの桁を組み立てます。使っている材料は、アメリカの"Northeastern Scale Lumber(ノースイースタン スケール ランバー)"のバスウッドです。
以前よりストラクチャーやトレッスルの材料として使っていますが、バスウッドの種類はもちろん、サイディング材やドア枠、窓枠なども豊富に揃っています。
Northeastern Scale Lumber
https://www.northeasternscalelumber.com/ (公式サイト)
チョッパーとオリジナルの治具を使ってカットします。チョッパーは木やプラ素材もカットできる裁断機のようなもので、ストラクチャーやトレッスルを制作する際には重宝する道具です。
桁を組み上げて、ベースと組み合わせました。橋脚部分はレールを固定したあとに接着します。
6.フィーダー線の取り付けとベースに下穴をあける
3~4mmのピンバイスでフィーダー線を通す穴をあけます。フィーダー線はレールにジョイナーをつけた状態の方がはんだがしやすいです。
関連記事>>>PECOのフレキシブルレールにフィーダー線を取り付ける手順
7.レールを固定する
0.3mm~0.5mmのピンバイスで枕木に先行穴をあけて、そこにピンを差し込みます。曲げ癖をつけていますが半径が40mmと急カーブなので、固定ピンはいつもより多めに打ちました。固定が終わったら裏に飛び出したピンをニッパーでカットします。
関連記事>>>PECOのフレキシブルレールを固定する方法
関連記事>>>レールニッパーを使ってレールをきれいに切断するコツ
8.スタイロをカットして台枠と組み合わせる
ベースベニヤに合わせてスタイロをカットして接着します。レイアウトの台枠は当店のオリジナルレイアウトベース(A5)です。台枠の開口部にはコスミックさんの電池式パワーパックがつきます。
赤丸の部分はレールの接続箇所ですが、若干レールが離れているのがおわかりいただけるでしょうか。半径40mmの急カーブにもなると、しっかり曲げ癖をつけてもレールの反発力に負けて離れてしまいます。
テープで半径を維持しつつ、このあとの工程で橋脚を入れて固定します。
9.橋脚をセットしてレールを修正する
半径とレールの接続箇所を修正しながら橋脚を入れて固定します。先ほどレールが離れてしまった箇所も無事に修正できました。ほかにもレールの微妙な歪みをチェックして修正します。
10.橋脚の追加と化粧材を取り付ける
橋脚を追加して、トレッスルにも補強材を入れました。化粧材は2.5mmのMDF材を使用しています。
11.パワーパックを取り付けて完成
フィーダー線とパワーパックはPECOのターミナルブロック(PL-39)で接続しています。コスミックさんの電池式パワーパックは単三電池8本で使用できるので、持ち運びも容易で置き場所も制限されません。
Micro Layout HOn2-1/2 Shinohara&Timbertrestle
今回制作したミニレイアウトは限定1個のみナローゲージショップにて販売しています。ご興味がある方は当店のオリジナルレイアウトベース一覧をチェックしてください。