レイアウト制作で使用するレールは3種類あります。
- 道床付きレール
- フレキシブルレール
- 引き抜きレール
敷設の難易度は1 < 2 < 3ですが、大変な分だけ実感的に仕上がります。
まずは道床付きレールから始まり、フレキに慣れてきたら引き抜きレールを使ったハンドスパイクにも挑戦したくなります。この記事では初めてハンドスパイクに挑戦する方のために、必要な材料とポイントを解説します。
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今回使った材料
お客様よりいただいたご要望なので基本仕様はA3サイズのレイアウトベースです。
- マイクロエンジニアリング 引き抜きレール コード40 (ウェザリング済み)
- ファストトラックス HOn30 木枕木 (約21mm×2×1.5)
- マイクロエンジニアリング マイクロスパイク (約4.7mm)
- マイクロエンジニアリング コード40用 金属ジョイナー
- マイクロエンジニアリング N コード40用 トラックゲージ
マイクロエンジニアリング 引き抜きレール コード40
今回はお客様のご希望がコード40でしたが、普段はコード55か70を使います。
というのもコード40はレールの高さがわずか1.02mmしかないので、犬釘(マイクロスパイク)がフランジに干渉する可能性が高いからです。HOナローの市販車両は車輪を交換しなければまずスムーズに走らないでしょう。
バラスト撒きもかなりシビアになりますので、初めて引き抜きレールを使う方にはコード70か83をおすすめします。
参考までにコード別の比較についての記事もご覧ください。コード40と55と80を車両を載せて比較しています。
関連記事>> PECO Nゲージ レールの比較 ~コード別の図解~
ファストトラックス HOn30 木枕木
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引き抜きレールを使う場合は枕木を別に用意する必要があります。
ホームセンターなどで木材を買ってきてカットしても良いですが、ファストトラックスはゲージ毎の木枕木を販売しているので手間が省けます。当店でもN、HO、HOn3、HOn30、On30用の枕木を取り扱っています。
枕木着色のタイミングはそれぞれお好みですが、私は先に墨液を使って染めています。ワイヤーブラシで木目を強調して、希釈した墨液プールにしばらく浸けるだけで簡単に右の画像のように染まります。
詳しくは別記事にて解説しています。
関連記事>>バスウッドの枕木を染める方法
マイクロエンジニアリング マイクロスパイク
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引き抜きレールを枕木に留めるのに使う犬釘です。長さが約4.7mmと非常に小さいので紛失に注意です。またかなり個体差もあるのでスパイクする前に必ず確認するようにしてください。
マイクロエンジニアリング コード40用 金属ジョイナー
レールの接続は金属ジョイナーを使います。ハンダで接続する手法もありますが、私はフィーダー線をジョイナーの裏側に付けて目立たないように隠したいのでいつもジョイナーを使っています。
マイクロエンジニアリング N コード40用 トラックゲージ
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レール幅がずれないようにするための治具です。定規を当てながらでもできますが、これをレールに挟みながらやる方が圧倒的に簡単なのでおすすめです。
道床を切り出す
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道床付きの要望だったので2mmコルクをカットして道床を作りました。幅は約3mmです。
他の記事でも紹介したことがありますが、レールの半径をけがく時や曲線をカットする時に便利なグッズを紹介しておきます。
"Uzumaru +"という商品で最大110°まで対応しています。
卓上レイアウトや極小レイアウトを作る時にはかなり重宝します。
枕木の接着
道床を接着したら枕木の位置をけがいておきます。今回は半径が110mmになるように枕木の位置を決めました。
枕木の接着にはお好みでどれを使っても良いと思いますが、私は乾くまでに多少修正が効くように木工ボンドを使っています。
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A3サイズのベースに半径110mmのレイアウトで使った枕木は93本でした。
枕木の間隔によっては多少前後すると思いますが、今回はHOナローで間隔をやや広めにしたいというご要望があったので枕木間隔は7mm~9mmくらいにしました。
レールをハンドスパイクする手順
いよいよハンドスパイクしていきます。まずは犬釘を差し込む前にピンバイスで先行穴をあけますが、これをやっておくと作業効率が全然違います。
先行穴は大きすぎると犬釘がゆるゆるになってしまうので、犬釘よりも細いサイズのドリルビットを使ってください。
①先行穴をあける
レールの際にあけるのではなく、1~2mm離したとこにあける。
②マイクロスパイクを差し込む
2/3くらいはニッパーで掴みながら差し込む。
③マイクロスパイクを押し込む
最後はレールを傷つけないようにニッパーの先っぽなどで押し込む。
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- 先行穴は垂直にあけない!ハの字を逆さまにしたようなイメージで斜めに!
- マイクロスパイクはニッパーで掴んで差し込む!押し込む時もニッパーの刃の先っぽでやるとやりやすい。(ピンセットは意外とやりづらい)
スパイクは内側と外側の両方から
スパイクは必ず内側と外側に差し込みます。差し込む位置も並べるのではなく、内と外でずらして差し込みます。
全ての枕木に差し込むのが理想ですが、それはかなり大変なので私は基本的には3本感覚くらいで差し込んでいます。カーブなど負荷がかかりやすい場所には間隔を狭くしたり臨機応変に対応しています。
レールのカットと接続
1本では足りないので画像の位置でカットしてレールを足します。
カットにはレールニッパーを使いますが、使い方は別記事にて詳しく解説していますので良かったら参考にしてください。
関連記事>>フレキシブルレールの切断方法 5つのコツ ~レールニッパーの使い方~
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足りないレールを接続して、内側レールが開通しました。2箇所に金属ジョイナーを使っていますが、真上から見た場合にはあまり目立たないと思います。
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外側レールの敷設
外側レールも同じ要領でスパイクしていきますが、スパイクする枕木は必ず内側レールと合わせてください。くれぐれも片方だけにしかスパイクしてないということがないように。
ハンドスパイクの要領は同じですが、今度はレール幅(軌間)を意識して留めていかなければなりません。
今回はHOナローなのでレール幅は9mmです。ここで冒頭で説明したトラックゲージを使っていきます。
トラックゲージと貨車の下回りを使う
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外側レールをスパイクしていく時は、トラックゲージを使って位置を決めていきます。
トラックゲージの溝をレールにはめてすべらせていけばレール幅は9mmになります。トラックゲージを使って留めていけばそうそうずれないと思いますが、私はある程度スパイクしたら貨車の下回りを試走させて脱線しないか確認します。
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レール上面を磨いて完成
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敷き終えたら最後にレール上面をレールクリーナーか紙やすりなどで磨きます。
この作業は引き抜きレールがウェザード仕様でなければ必要ありません。ウェザード仕様の場合にこの作業を怠ると通電不良を起こしますので忘れずにやってください。
引き抜きレールとフレキシブルレールの比較
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PECOのHOナロー用フレキ(コード80)との比較です。手間はかかりますが、枕木を染めて引き抜きレールをハンドスパイクした方が実感的なのがわかると思います。
最初から大きなレイアウトを作ろうとせずに、まずは卓上サイズから挑戦するのがおすすめです。
先行穴のあけ方もスパイクの差し込み方も"慣れ"です。やっていくうちに感覚がわかってくるので、食わず嫌いをせずにぜひやってみてください。
- はじめはコード70かコード83を選ぶ
- 先行穴は犬釘よりも細いドリルビットを使う
- 先行穴は逆ハの字を意識して斜めにあける
- 犬釘はニッパーを使うと差し込みやすい
- トラックゲージと貨車の下回りを使ってレール幅(軌間)を一定にする
- ウェザードレールはレール上面をよく磨く
この記事で紹介した商品
以下のリンクよりナローゲージショップの商品ページへ移動します。