小型レイアウトの魅力は、なんといっても小さいスペースでも楽しめることです。
そんな小型レイアウトにおすすめの車両がドイツのメーカーの”ブッシュ(BUSCH)”です。当店ではブッシュ製品を扱っているので、以前からHOf(1/87,6.5mm)の車両を走らせる小型レイアウトを作ってみたいと思っていました。
レイアウトのためのスペースが確保できない方やこれからナローゲージを始めたい方のために、引き抜きレールを使った小型レイアウトの作り方とその魅力について解説します。
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HOfとブッシュ(BUSCH)について
HOfとは縮尺(スケール)は1/87ですが、レール幅(軌間)が6.5mmのHOナローです。欧州の2フィート(610mm)前後の鉱山鉄道などを模型化したもので、ドイツのメーカーの”ブッシュ(BUSCH)”が有名です。
ブッシュの車両は全長が約35mmほどなのでカーブ半径が小さい卓上レイアウトに最適で、単三電池2本でジリジリと走る可愛い模型です。
使用する材料と道具
- ベニヤ(約A4サイズ)
- マイクロエンジニアリング 引き抜きレール コード55
- Fast Tracks(ファストトラックス) N用 木枕木 約16mm×1.5mm×1mm
- Fast Tracks(ファストトラックス) N用 PCボード 枕木 約16mm×1.5mm×1mm
- ブッシュ 5091 メタルプレート
レールはPECOのZゲージ用のフレキシブルレールでも良かったのですが、枕木の間隔やカーブの半径を考慮して引き抜きレールをハンドレイで敷設します。
そしてBUSCHの車両を走らせる際に重要なアイテムが専用のメタルプレートです。ブッシュの車両はとても小さくて軽いため、車両に磁石が搭載されていて磁力で集電を安定させています。
ベースの下にメタルプレート(市販の金属板でもOK)を敷かないとまともに走ってくれません。
- ハンダ掃除用ブラシ
- DESOLRERING WIRE (ハンダ吸い取り線)
- マッハ模型さん 塩化亜鉛溶液 (フラックス)
- Fast Tracks(ファストトラックス) ハンダ
- ハンダこて
ハンドレイに使う道具です。どれもなくてはならないものですが、中でも重要なのがフラックスです。フラックスを使うのと使わないのとでは作業効率が格段に変わります。
ハンダはできるだけ線径の細いものを使うとやりやすいです。
小型レイアウトの作り方
①枕木の敷設
枕木は木工用ボンドなどの接着材で固定します。今回は左右で半径の違うちょっといびつな小判型にしました。
最小半径は左半分が70mm、右半分が半径80mmです。事前にベニヤにレールの位置と枕木の位置をけがいておくと作業がしやすいです。
※枕木がけがいた線より内側に入っていることには触れないでください・・・。
②PCボードにレールをはんだ付けする
レールをはんだ付けするポイントは以下の3つです。
- はんだを付けたい箇所を先にあたためる
- はんだを付けたい箇所にフラックスを塗る
- コテを先に当てて、あとからはんだを付ける
ポイント①ハンドスパイクしない理由
メタルプレートのところでも書きましたが、ブッシュの車両には磁石が搭載されています。ハンドスパイクをすると犬釘と磁石が引き寄せあっていちいち停まってしまいます。
そのためPCボード枕木を使ってハンドレイで仕上げる必要があるのです。
※以前ハンドスパイクでがっつり制作しましたが、いざ走行させるとまともに走らず、それはもう壮大にずっこけた経験があります。
ポイント②塩化亜鉛溶液を使う
いわゆる"フラックス"です。ハンダをスーっと効率良く流してくれるなくてはならないものです。
ハンダしたいところに小筆などでちょんと付けるだけです。ただし毒性の強いものなので扱いには充分気をつけてください。
ポイント③ハンダを付けすぎた場合
DESOLRERING WIRE(ハンダ吸い取り線)を使います。吸引したいハンダを一度溶かしたらその上に吸い取り線を置き、吸い取り線の上から更に加熱させます。
吸い取り線にハンダが移ったら加熱しながらサッとはずします。
ポイント④ハンダの掃除
ハンダをつけたら必ず金属のワイヤーブラシで掃除します。
今回のような小さいレイアウトではそうでもありませんが、これがハンドレイの一番めんどくさい工程かもしれません。
③レール敷設完了
内側のレールはけがき線を目安にハンダ付けするたびに定規で計りながら留めていきました。
外側のレールの場合もけがき線を目安にはしますが、自作の簡易トラックゲージ(治具)で確認しながらハンダ付けしていきました。
台枠と組み合わせて完成
スイッチはシンプルなオン・オフスイッチ。ブッシュの車両の許容電圧は3Vまでということで、電源は単三電池2本だけです。
試走動画
ジージー鳴りながらゆっくり走る小さい車両がたまりません。貨車1両だけなら引くことができました。
HOf 6.5mmナロー レイアウト ブッシュ試走動画
ブッシュ(BUSCH)の魅力
1. 小型パイクで楽しめる
まずはなんといっても小型で軽量です。卓上サイズの小さいレイアウトでも充分に楽しめます。
ハンドレイでレールを敷設すれば極小レイアウトも可能です。
これはBUSCHのディーゼル機関車(12113)ですが、全長は約35mm、幅は約15mm、高さは約25mmほどです。
そして重さは10g。いかに小さくて軽いかがおわかりいただけると思います。
2. 強力な磁石の力
そんなに軽いと集電が不安定になるのでは、、そう思う方もいらっしゃるでしょう。しかしここにBUSCH最大の秘密があります!
BUSCHの車両には磁石、レールには金属板(メタルプレート)が取り付けられていて、磁力で密着を高めて安定した走行が可能になっています。
レール幅が6.5mmということでPECOのZゲージのフレキシブルレールを使用する方も多いと思いますが、その場合はレールの下に金属板などを敷いて磁石が効くようにした方が走行が安定します。
3. 様々なレイアウトパターンが可能
磁石の力で密着を高めるということはレール配置に高低差をつけても問題ないということです。鉱山鉄道は地下に潜っていきます。再現するとなるとどうしても高低差のあるレイアウトになります。それを磁石の力が実現させてくれるのです。
極端な例ですがこんなこともできます(笑)。※注意:画像を反転させてるわけではありません。
垂直にしても逆さまにしても問題なし!通常ではありえないようなレイアウトも可能です。
遊園地のコースターなんて面白いかもしれません。
4. 超スロー運転
これをメリットと捉えるかデメリットだと思うかは人それぞれですが、BUSCHのHOf動力車はスピード調節ができません。
ジージー鳴りながらてゆっくりと走ります。専用コントローラーにも進むか止まるかしかありません。これが実にかわいいのです。
注意点
繰り返しになりますが、ブッシュの車両の許容電圧は3Vまでです。一般的なパワーパックを使用すると過電圧になりモーターを損傷させる恐れがあります。
3Vということは単三電池2本で簡単に自作の電源を作ることができる、ということにもなります。
まとめ
いかがでしたか、少しはBUSCHの魅力が伝わったでしょうか。1/87ということでストラクチャーなどもHOのものを流用できますし、小型の卓上レイアウトを作るにもちょうど良いと思います。
当店ではBUSCHの動力車、貨車、ストラクチャー、シーナリー用品を扱っておりますので、興味がある方は一度ご覧ください。
HOf(6.5mm)用のオリジナルレイアウトベース制作も予定しています。