PECOのポイントマシン(PL-10/PL-10E)は配線に少しコツが要るので、【公式】ナローゲージショップブログが配線方法と最初につまづきやすいポイント、その解決方法を解説します。
ハンダ付けが一切なく、配線図もシンプルで初心者の方でも簡単にできることを重視しました。この記事を読めばこれから始める方でも簡単にポイントマシンを電動化できるはずです!
PL-10(W)/10E(WE)のスペックと設置方法、PL-11(サイドマウントタイプ)に関しては以下の記事を参考にしてください。
関連記事>> PECOポイントマシンのスペック詳細と2つの設置方法
関連記事>> サイドマウントポイントマシン(PL-11)の電動化の手順
【5分でわかる!!】PECOポイントマシンの配線方法【PL-10(W)(E)】
動画でも解説しました、あわせてご参照ください。
- 電動化に必要な材料
- 電動化のつまづくポイントと解決方法
- 電動化の配線図と配線方法
- PL-10とPL-10W(低電流タイプ)の違い
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設置方法により必要な材料は異なる
PL-10とPL-10Eのどちらを使うか、また設置方法によっても異なります。ここでは電動化に必要な材料のみ紹介しますので、設置方法は関連記事をご参照ください。
関連記事>> PECOポイントマシンのスペック詳細と2つの設置方法
PL-10 ポイントマシン
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1番スタンダードなポイントマシンです。左右の黒いドラムに電流を流すと磁気の力で真ん中にある軸(ロッド)を引き寄せてポイントを切り替えます。
ベース上に設置する場合には、アダプターベースと組み合わせます。
ベースの下に設置することもできますが、軸(ロッド)が短いためポイントレールの下に大きな穴をあけて、さらにバラストを撒くために穴を塞ぐ加工も必要になります。
安定して動作させるには16Vの電圧が必要です。
PECO PL-10E ポイントマシン (長軸タイプ)
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こちらはPL-10の軸(ロッド)が長くなっている仕様です。必要な電圧や配線方法はPL-10と同じです。
軸(ロッド)が長いのでベースの下に設置するのに適しています。マウントプレートと組み合わせることにより、穴あけの加工も最小限で済みます。
PECO PL-9 マウントプレート (ポイントマシン取付板)
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PL-10Eをベースの下に設置する時に使うマウントプレートです。
マウントプレートをボードにビス留めして固定します。穴あけは軸(ロッド)の可動域だけで済みます。
PECO PL-12X アダプターベース (バネなし) 2個入り
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PL-10をベース上に設置する時に使うアダプターベースです。拡張用のアームを使えば離れた場所にも設置することができます。
PECO PL-34 ポイントマシン配線 ( PL10シリーズ用) (赤・黒・緑 各2本入)
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PECOのポイントマシン用の配線です。配線の長さは約46cmで緑と赤と黒が2本ずつ入っています。
片側にコネクターがついていてポイントマシンやスイッチにハンダなしで接続できるようになっています。
PECO PL-26W ポイントスイッチ(白)
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PECOのポイントマシン用純正スイッチです。許容電圧は最大16V。
今回は白を使っていますが赤・白・黄・黒の4種類があります。後ほど詳しく解説しますが、この純正スイッチを使うか否かでコンデンサの必要性が変わってきます。
電源
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ポイントマシンの電動化で最初にひっかかるのが電源だと思います。パワーパックにポイント用電源が付いていることもありますが、大切なのは"電圧"です。
私が使っているのは一般的な"AC-DCアダプター"ですが、出力はDC16V/4Aです。秋月電子さんで1,700円くらいで手に入ります。
- 安定して動作させるためには16Vの電圧が必要
- 12Vの電源でも2~3Aのものを使い、コンデンサを繋げば動作するとの話も…
- 16Vより大きな電圧をかけた場合、発熱し焼き切れたりしてポイントマシンが壊れる
電動化のつまずくふたつのポイントと解決方法
電動化しようと思い、ポイントマシンを購入。しかし同梱の説明書を見るとふたつの疑問がわいてきます。
- AC16Vの電源をどこから取れば良いのか
- "CDU(PL-35)"って何だろう
AC16Vの電源をどこから取れば良いのか
現在、国内で使う電化製品でAC16V電源を使うものはあまり見かけません。まずほとんどがAC-DCアダプターで出力がDCです。AC(交流)は電流の流れが常に変動して電圧も一定ではありません。
KATOのパワーパックSのアダプターがAC15Vですが、単独で使うと17,8V出たりもします。動作はすると思いますがちょっと怖いです。
"CDU(PL-35)"って何だろう
CDU(PL-35)は"Capacitor Discharge Unit"というものです。直訳すると"蓄電放電ユニット"ですが、いわゆる"コンデンサ"です。
コンデンサと言っても種類と機能が様々ですが、PECOのCDUは蓄電して複数のポイントマシンを同時に動かす役割と、AC電源から取っている電気を整流して滑らかで安定した直流にする為のものです。
解決方法
解決方法はシンプルです。先ほど私が紹介した"AC-DCアダプターを使う"ことです。レイアウト上に複数のポイントマシンを設置して、同時に切り替えることがなければCDUも不要です。
PECOポイントマシン電動化の配線図
まずは配線図を見てみましょう。すごくシンプルですね。この図を見て、「あれ?調べた時の配線図と違う。」と思う方もいるかもしれません。
下の配線図を見てください。
インターネットでPECOポイントマシンの電動化を検索すると、色々なサイトで"電解コンデンサー"を使っています。その方法は昔からある定番の手法ですが上級者向きといえます。
今回私が解説するのは定番の手法よりも少し費用はかかりますが、"初心者でも簡単にできる方法"です。
ふたつの配線図の違い
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左の配線図に注目してください。右が昔からある定番の手法です。この配線図には二つ異なる部分があります。
- 電解コンデンサの有無
- スイッチの種類
鍵を握るのはPECOの純正スイッチ(PL-26)です。PECOの純正スイッチの特徴は、以下の3つです。
- 電気が流れるのはレバーが倒れる途中の一瞬だけ
- レバーが倒れきると接触が切れて電気は流れない
- 切り替えている方に電気が流れっぱなしになる常時通電ではない
一方、右の配線図で使われているスイッチはON-ONのトグルスイッチです。
- ON-ONのトグルスイッチは常時通電
- 切り替えている側に常時16Vの電圧をかけ続けることになる
- 常時通電を防ぐ為に電解コンデンサが必要
- コンデンサには電気を蓄電して放電する機能がある。
- 蓄えられる容量や耐圧があるのでどれでも良いわけではない。
- ON-OFF-ONのスイッチは、切り替え後にスイッチを真ん中に戻すと電気は流れない、つまり常時通電を防げる。
- 電源はAC-DC16Vアダプタを使う
→コンデンサは不要(同時に複数のポイントを動作させたいを除く)
- PECO純正のスイッチを使う
→コンデンサは不要(ON-OFF-ONのスイッチを使う場合を除く)
複数のポイントマシンを電動化する際の配線図
前述した配線図はポイントマシン1つを電動化する手順です。もし複数のポイントマシンを電動化したい場合はどうすればよいのでしょうか。
複数のポイントマシンをそれぞれのスイッチで操作する場合
ポイントマシン毎にスイッチを使う場合は並列に繋ぎます。はんだが苦手な方はターミナルブロック(PL-39)を使えば簡単に接続できます。
1つのスイッチで同時に2つのポイントマシンを操作する場合
この場合もポイントマシンは並列に繋げます。ただし2つ以上になると電圧不足で正常に動作しない恐れがあるので、CDU(PL-35)などを使用した方が確実です。
CDUを使用する場合
CDUを使用する場合、電源とスイッチの間にCDUを介します。上記の配線図は一例ですが、「A」のスイッチで①と②のポイントマシンが同時に動作します。「B」のスイッチで③のポイントマシンが単独で動作します。
- ポイントマシンが増えても並列に繋げばOK。
- 配線の分岐にはターミナルブロック(PL-39)を使うと楽。⇒はんだ不要
- 場合によっては、CDU(PL-35)を使う。⇒補助電源の役割
ポイントマシン電動化の配線方法
配線図がわかったところで実際にやってみましょう。画像の材料を揃えればはんだ付けは一切なく初めての方でも簡単に電動化できます。
1.ポイントマシンに緑の配線を接続する
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PL-34にはいっているコネクタが2つ付いている緑の配線をポイントマシンの片側に接続します。差し込むだけのハンダフリーです。
2.ポイントマシンに赤と黒の配線を接続する
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ポイントマシンの反対側に同じように赤と黒の配線を接続します。これでポイントマシン側の配線は終わりです。緑の配線は電源に、赤と黒の配線はスイッチに接続します。
3.スイッチにポイントマシンに接続した赤と黒を接続する
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先ほどポイントマシン側に接続した赤と黒をスイッチの両端に接続します。画像ではオールハンダフリーにする為にPL-34の配線の反対側にもコネクタを付けています。
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コネクタが10個とカバーが5個入っています。ハンダが苦手な方におすすめです。
4.スイッチの真ん中の端子に赤の配線を接続する
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残ったスイッチの真ん中の端子に赤の配線を接続します。この配線は電源に接続します。
これで配線は完了です。あと緑と赤を電源に接続するだけです。
5.AC-DCアダプタにジャックを取り付ける
このままでは配線ができないのでDCジャックを取り付けます。DCジャックも電源と同じく秋月電子さんで購入できます。
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これで配線が可能になりました。
6.配線完了
配線の全体図です。パワーパックとは別に外部電源を使っているのでアダプタをどこに収めるかが課題になりますが、複雑な配線もハンダもなく初めて電動化する方にはおすすめの配線方法です。
PL-10とPL-10W(低電流タイプ)の違い
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PECOのポイントマシン(PL-10シリーズ)には商品コードに「W」が付く"High Performance Turnout Motor"があります。こちらにもロッドが短いPL-10Wと、長いPL-10WEの2種類がありますが、寸法や設置方法はPL-10(PL-10E)と同じです。
では何が違うのか。ここではPL-10(10E)との違いを解説します。
推奨電流(A)の違い
- PL-10(10E) ⇒ 14V~16V / 3A
- PL-10W(10WE) ⇒ 14V~16V / 1A~1.5A
推奨電圧(V)は同じですが電流値(A)に違いがあります。
スタンダードタイプのPL-10(10E)が3Aに対して、PL-10W(10WE)は1A~1.5A。必要な電圧は同じでも使う電流は少なくて済むというのが"High Performance"たるゆえんでしょう。
PL-10W(10WE)はDCC推奨
PECO公式の冊子に記載がありましたが、PL-10W(10WE)は元々ヨーロッパ諸国で一般的な低電流で動作するコントローラーでも使えるように設計されたものです。低電流(消費電力が少ない)ということで、レールから給電するDCCに最適といえます。
PL-10W(10WE)の動作検証結果
今回手元にある3つの電源でPL-10Wの動作確認をしました。検証時にコンデンサーは使用していないので、コンデンサーを介した場合とは異なります。
1. 秋月電子さんのDC12V / 1.5A
マシン単体では動作するものの、ポイントレールに組み込むとバネの力に負けて動作しませんでした。
2. デジトラックスの13.8V / 3.6A
ポイントレールに組み込んでも動作はしましたが、片方にしか切り替わらず安定した動作は望めませんでした。
3.秋月電子さんのDC16V / 4.0A
PL-10が安定して動作する値なのでパチンパチンと力強く切り替わりました。
- PL-10W(10WE)は低電流タイプ
- 推奨電圧はPL-10と同じ14V~16V
- 低消費電力なのでDCC(デジタル化)に最適
まとめ
配線図のところでも書きましたが、市販のトグルスイッチと電解コンデンサを使った昔ながらの定番方法は費用的にかなりリーズナブルです。ハンダに抵抗がない方や知識がある方なら容易にできます。
今回解説した配線方法はハンダ付けが一切なく、配線図もシンプルで初心者の方でも簡単にできることを重視した方法です。ポイントマシンを電動化してみたいけどよくわからない。自信がないという方の参考になれば嬉しく思います。
電動化もせず手動転轍機も使わずに、手元で操作ができる組み立てキットのご紹介です。はんだフリーで組み立ても簡単、コストパフォーマンスにも優れています。
この記事で紹介した商品
以下リンクよりナローゲージショップの商品ページへ移動します。
PECO PL-10 ポイントマシン
PECO PL-10E ポイントマシン (長軸タイプ)
PECO PL-10W ポイントマシン (低電流タイプ)
PECO PL-10WE ポイントマシン 長軸 (低電流タイプ)
PECO PL-9 ポイントマシン取付板 (PL-10E/10WE用) (5個入)
PECO PL-12 アダプターベース (バネあり) 1個入り
PECO PL-12X アダプターベース (バネなし) 2個入り
PECO PL-34 ポイントマシン配線( PL-10シリーズ用) (2本入)
PECO PL-26W ポイントスイッチ(白)
- AC-DCアダプター(DC16V / 4.0A)←秋月電子さんオンラインショップ